あすなろ物語。

昨年の夏ごろから気になっていた、
あすなろ物語井上靖著を、とうとう買って読み始めた。

いまから20数年くらい前に、テレビのアニメで
日本文学を再現しているものがありました。
たまたま見た「あすなろ物語」が記憶にあるのです。
結末が、雪の降る林の中で若い男女が心中していた。
あすなろの木は、明日は檜(ヒノキ)になろう、明日は檜になろうと
思いながら、檜にはなれない木、
というセリフとともに残っていました。

今はじめて読んで、それは6章あるうちの
最初の1章の結末だったのだなと知りました。

あすは檜になろう、明日は檜になろうと一生懸命考えながら
でも永久に檜になれない、という説話(ものがたり)は、
悲しさを帯びている気がします。
ちがう解釈もあるかもしれないけれど。

P.S.
今回、新潮文庫版で買ったこの本の解説に引用されていた
(本編の話の引用ではない)
ゲーテの言葉の引用
「樹木は伸びても天まで達しないことになっている」
これも、なんか意味深だね。